第1問★ 外国人の人権と公務就任権
地方公共団体が、職員の採用について、日本国籍を有することを受験資格の1つとした場合の憲法上の問題点について論ぜよ。
また、日本国籍を有することを管理職登用資格の1つとした場合についても論ぜよ。
解答案1
第1 地方公共団体が、職員の採用について、日本国籍を有することを受験資格の1つとした場合(以下、場合1と略す)の憲法上の問題点について論じる。
- 問題提起
場合1は、22条1項に反し、違憲ではないか。
- 規範
22条1項は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、…職業選択の自由を有する。」と規定しており、人はだれでも職業選択の自由を有していることを規定している。
- 反論
確かに、日本国籍を有しない者が、行政を行う地方公共団体職員採用の受験資格を有し、地方公共団体職員となり、行政権を行使することは、国民主権(前文1段、1条)に反しうるといえる。すなわち、国民ではない者が、統治権を行使し、対内的な支配権を行使することになり、国家の意思を最終的に決定する最高の力としての主権が国民に存するという国民主権に反することが考えられる。
- 主張
しかし、地方公共団体の行政は、多様であり、直接支配権や統治権を行使しない職務や、直接国民主権や地方自治権に抵触することのない補佐的・技術的職務がある。日本国籍を有しない者が、国民主権や地方自治権に抵触することのない補佐的・技術的職務にまで、合理的理由がなく、一律的に就けなくする規定は、職業選択の自由を侵害し、憲法22条1項に反するものといえる。
- 結論
したがって、場合1の規定は、合理的理由がなく行われる場合、違憲である。
以上