司法試験受験日誌

司法試験合格過程

伊藤塾・試験対策問題集・予備試験論文5・刑法 第3問 過失犯

答練

第1 甲の罪責を論じる。

 甲は、過失運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下法名略)5条)にあたるか。

 1 過失運転致死傷罪(5条)は、「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者」を処罰する規定である。

 甲は、走行中、老人丙が道路わきを通行しているのを確認したが、道路に出てくることはあるまいと判断し、そのまま走行したところ、丙が足をふらつかせて道路に出てきた。甲は、安全に停止することも、安全に丙をよけることもできず、丙をひき、よって、丙に骨折等の重傷を負わせた。

 甲の行為によって、丙のけがが生じており、因果関係が存する。

 道路わきを通行する人が、道路に出てくることはあるまいと、甲が判断し、速度を落としたり徐行したり、又停止したりするなどしなかったことは、運転上必要な注意を怠ったといえる。

 よって、甲は、丙のけがについて、過失運転致傷(5条)の罪責を負う。

第2 甲は、乙死亡について、罪責を負うか。

 乙は、こっそりと荷台に潜んでいた。

 社会通念上、人がこっそりと荷台に潜むことは、考えられず、甲が、乙がこっそりと荷台に潜んでいることに気づかない事は、運転上必要な注意を怠ったとは考えられない。

 よって、甲は、乙死亡について、罪責を負わない。

以上