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令和4年予備試験民事訴訟法答案練習

令和4年予備試験民訴答案練習

自己答案

第1 設問1

1 ①,②の方法ごとに、甲土地がXの財産であることを確定する訴えの適法性について検討する。

⑴ ①Xが原告となり、AがXの代表者として、甲土地がXの財産であることを確定する訴えを提起する方法の適法性について。

ア Xとは、代表者A、B、Cらを含む計30名の権利能力のない社団である。また、Xの中には、甲土地がXの財産であることを確定する訴え提起に反対が予想される者がいる。

 民事訴訟法(以下法名略)29条は、法人でない社団等の当事者能力について、「法人でない社団または財団で、代表者または管理人の定めがあるものは、その名において訴え、または訴えられることができる。」と定めている。

 Xは、法人でない社団であり、Aはその代表者である。

 よって、Xは、その名において訴えることができる。この点について①の方法の訴えは適法である。

イ AがYとの間で裁判によって甲土地がXの財産であることを確定したいと考えたが、Yに対して訴えを提起することについては、Cのほか、Cと関係の近い相当数の構成員による反対が予想されたことについて考慮する。

 X代表者Aは、甲土地は、Xの構成員が利用してきたことから、甲土地をXの持参であると認識していた。しかし、甲土地名義人は、Xの構成員ではないYに移転されていることが判明した。また、Aは、Yに対して甲土地がXの財産である旨を主張したが、Yは自己の所有権を主張して譲らなかった。このため、X代表者AとYとの間で所有権をめぐる争いが生じている。このため、X代表者Aは、法律関係を確定し、争いを解決し、法令に是認される状態にしようとしているから、Xの中に反対者が予想されるものの、①の方法の訴えは適法である。

甲土地に関する法律関係を確定したうえで、必要であれば、X規約に基づき、甲土地処分を行うべきであると考えられる。

ウ 判例は、「民訴法29条にいう『法人でない社団』にあたるというためには、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し、その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確立していなければならない」といっている。

 Xは、自動車愛好家の集まりであるため、特定の目的を持った団体組織である。また、意思決定は原則多数決で行っている。また、20年近くにわたって継続的に活動してきており、規約を持ち、総会を行っていることから、29条の「法人でない社団」にあたると考えられる。

 以上から、①の方法の訴えは適法であるといえる。